当時、2000年代半ばは、伊勢丹新宿店メンズ館の紳士靴売場が高級靴ブームを牽引していた時代。海外の職人を招いたトランクショーも頻繁に行われていました。
一方で、革靴を長く履くためのメンテナンスの考え方は、まだ今ほど定着していませんでした。新しい靴を購入されたお客様が、履いてきた靴を「もういらない」と置いて帰ることも珍しくなかったとか。
藤澤さんはそうした靴をもらい、教わった技術以外に染めの実験を重ねていきました。
油性ペンのマッキーで塗り潰してみる。
公園のベンチに使うようなペンキを塗ってみる。
結果は、すべて失敗。靴はめちゃくちゃになったそうです。
けれど、そうした試行錯誤を7〜8年ほど重ねたことが、今の技術につながっています。
また、当時の伊勢丹ではSantoniなどが店内で染めの実演をしており、藤澤さんはその様子も大いに参考にしたそうです。
染料メーカーのボトルをメモし、工程を見て、材料を探る。
そのうち、Santoniの方に警戒されるようになったとか。
……それは、そうかもしれません。