銀歯を作っていた青年は、どのようにして日本のパティーヌの第一人者になったのか。藤澤さんの歩みをたどりながら、パティーヌの奥にある面白さをご紹介します。
正しく表示されない場合はこちら
このメールは、株式会社KINKOUからのメール配信をご希望された方に送信しております。今後も引き続きメールの受信を希望される方は こちらをクリック してください。 今後メールの受信をご希望されない方は、こちらから配信停止手続きが行えます。

いつもTHE WAY THINGS GOをご利用いただきありがとうございます。

 

革に色を重ね、濃淡や奥行きを生み出す技法「パティーヌ」。
前回に続き、今回は日本におけるパティーヌの第一人者・藤澤宣彰さんにお話を伺いました。

 

藤澤さんが最初に就いた仕事は、実は靴ではなく、歯科技工士。

それから20年強――銀歯を作っていた青年が、どのようにして日本のパティーヌの第一人者になったのか。
そのユニークな歩みをたどりながら、パティーヌの面白さをもう少し深くご紹介します。 

後半に進むほど面白くなりますので、ぜひ最後までお付き合いください。

【藤澤 宣彰 氏】
パティーヌ(革の染色)を職業とした第一人者であり、世界屈指のカラリスト。

繊細な色使いと高い技術で、国内外の愛好家から依頼を受ける。
昨年は、当店のKINKOUブラシ「YEAR MODEL」 の染色も担当していただきました。

一見、歯科技工士はパティーヌとは遠い仕事のようですが、銀を削り、細かな形を整える感覚は、現在の仕事にもつながっているのだとか。2、3年ほど勤めたそうです。 

 

その後、モッズファッションへの関心から、スーツ、靴に興味を持ち、2003年頃にワールドフットウェアギャラリー※へ入社します。
※かつて国内外の本格靴を扱っていた紳士靴専門店。現在は営業を終了しています。 

 

当時、藤澤さんが強く惹かれていたのが、古着屋に展示されていた昔のGeorge CleverleyやTuczekの靴でした。

 

黒い革が年月を経て自然に色抜けし、茶味や奥行きのある表情になっている。
その佇まいが、とても格好よかったといいます。

ただ、その靴は非売品。

買えないけれど、週に何度も見に行っていたそうです。
(下の写真は、黒のボックスカーフの色を抜いたもの)

そんな折、ワールドフットウェアギャラリーに、フランスのブランド「コルドヌリ・アングレーズ」の職人が来日。ここで初めてパティーヌを学ぶ機会を得ます。

 

教わったのは、黒いボックスカーフをアルコールで色抜きする方法でした。

黒い革の表面から色を抜いていくと、昔の英国靴のような、経年で色が抜けたような表情が出てくる。

これがまさに、古着屋で何度も見に行っていた「あの格好いい靴」に近づける方法なのだとわかったそうです。なんという巡り合わせ。

教わったことを、藤澤さんはさっそく実践しました。
在庫が残り1足になった靴を自分で染め替え、ワールドフットウェアギャラリーの店頭に並べるように。その靴が売れたのだそう。

 

さらにその靴を見たコロンブス※の営業マンから声がかかり、転職。すぐに出店先である伊勢丹で、染め替えを担当することになりました。
※株式会社コロンブス:靴クリームやシューケア用品を手がける、日本の老舗メーカー。 

当時、2000年代半ばは、伊勢丹新宿店メンズ館の紳士靴売場が高級靴ブームを牽引していた時代。海外の職人を招いたトランクショーも頻繁に行われていました。

 

一方で、革靴を長く履くためのメンテナンスの考え方は、まだ今ほど定着していませんでした。新しい靴を購入されたお客様が、履いてきた靴を「もういらない」と置いて帰ることも珍しくなかったとか。

 

藤澤さんはそうした靴をもらい、教わった技術以外に染めの実験を重ねていきました。

油性ペンのマッキーで塗り潰してみる。
公園のベンチに使うようなペンキを塗ってみる。
結果は、すべて失敗。靴はめちゃくちゃになったそうです。

けれど、そうした試行錯誤を7〜8年ほど重ねたことが、今の技術につながっています。

また、当時の伊勢丹ではSantoniなどが店内で染めの実演をしており、藤澤さんはその様子も大いに参考にしたそうです。

 

染料メーカーのボトルをメモし、工程を見て、材料を探る。

 

そのうち、Santoniの方に警戒されるようになったとか。

……それは、そうかもしれません。

その後、コロンブス本社の企画部へ移り、とにかく多くの仕事に携わります。

 

シューケアブランド「Boot Black」の立ち上げやマーケティングに加え、イタリア・フィレンツェで開催される紳士服の国際見本市「Pitti Uomo」への出展も経験。

 

三陽山長やPUMAなど、外部からの染めの依頼も受けるなど、活動の幅は染色にとどまらず、シューケアやブランドづくりの現場にも広がっていきました。

 

そして、2013年にコロンブスを退社し、独立。

理由はとてもシンプルで、職人としての仕事にもっと集中したかったから。

独立後は、オリジナルシューズブランド「Floriwonne(フローリウォネ)」を始動します。

 

当初は浅草の工房に製造を委託していましたが、藤澤さん自身も釣り込みを学び、靴職人とともに、靴そのものの形にも深く関わっていきました。

独自の方法で型紙を起こすなど、その試行錯誤は、このメルマガでは書ききれないほど。

 

一方で、完成度を追求するほど靴としてのFloriwonneの価値も高まり、価格帯も上がっていきました。(1足で三桁万円に届くものもあったそう)

 

さらにコロナ禍で、一緒に仕事をしていた職人の方々が廃業されたことも重なり、約10年続いた「Floriwonne」は終了することになります。

パティーヌとは、自然の模倣であり、時間の変化の模倣。

さまざまな染色方法を試してきた藤澤さんですが、現在もベースになっているのは、最初に教わったやり方だそうです。

試行錯誤したからこそ、最初に教わった方法の合理性が、よりはっきり見えてきたのかもしれません。

 

藤澤さんは、パティーヌは自然の模倣。時間の変化の模倣だと言います。

 

長く履き込まれた靴に現れる色の抜け方や、光と影による濃淡。
そうした自然な変化を、手仕事によって再構成していく。

ただ色をつけるのではなく、その革や靴に合う表情を探っていくところに、パティーヌの面白さがあるのだと思います。

本当はこのまま、当店で開催する藤澤さんの受注会についてもご案内する予定でした。

……が、藤澤さんのお話が面白く、気づけばかなり長くなってしまいました。

 

今回の受注会でご紹介するのは、Floriwonneを終了した藤澤さんが、「パティーヌをもっと広く楽しんでもらいたい」という思いから始めたブランド、Fg-trente(エフジートラント)です。

Floriwonneよりもずっと手に取りやすい価格で、藤澤さんの色づかいや技術を楽しんでいただける内容になっています。

Fg-trente 受注会
開催日時:6月6日(土)・7日(日) 12:00~19:00
場所:THE WAY THINGS GO


靴のカラーリングが穴飾りなど、意匠の一つひとつをお客様のご要望に合わせてオーダーいただけます。
藤澤さんによる高度な技術を、より身近に、お手頃にご体感いただける特別な機会です。

次回、改めて詳しくご案内いたします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

THE WAY THINGS GO
〒541-0047
大阪府大阪市中央区淡路町2丁目5-8
船場ビルディング415
 
ご来店予約はこちらから

📢 公式LINE、登録されていますか?

 

@651bcnxn

当店では、週に1度、営業スケジュールを配信中です。
「行ったら閉まっていた…」という悲しい事態を防ぐためにも、ぜひご登録をおすすめします。

クーポンの配信や、最新情報もお届けしています。

テキストを入力してください。
Instagram

淡路町, 2-5-8, 船場ビルディング415, 大阪市中央区, 大阪府 541-0047, Japan


|