実は、量産型のスーツ工場で“完全なオリジナル型紙”を使って仕立てるのは、かなり難しいことです。
というのも、多くの工場は「決まった型紙=効率的に大量生産できる」ことを前提に、作業が細かく分業されています。
たとえば、ボタンだけをつける人、衿だけを縫う人――。
1つの作業を専門で担当する人たちが、何十人と並ぶライン作業です。
しかも、作業者の多くは短期のパートや外国人労働者。
だからこそ、工程は「誰でもできるように」簡略化されていきます。
そこへ“いつもと違う”型紙が入ると、一気に流れが止まってしまう。
別のラインを新たに組む必要があり、コストも手間も大きくなります。
だから多くのスーツは、工場が用意したベース型紙を「ちょっとだけ調整しただけ」のもの。
ブランド名やショップ名が違っても、中身は同じというケースも珍しくありません。